大麻が古くから医療目的で使用されてきたことを考えると、CBDやTHCといったカンナビノイドが注目を集めるのは当然とも言えます。
しかし、20世紀に入り、多くの国で大麻が違法化された結果、その薬効に関する研究は長らく停滞していました。
その後、科学技術の進歩とともにカンナビノイドの特性が再発見され、医療分野での可能性が広がり始めました。
シャーロットちゃんの物語とCBDの転機
大麻から抽出されたCBDが医療分野で再び注目を浴びた大きなきっかけは、ドラべ症候群という難治性てんかんを抱えるシャーロット・フィギーちゃんの物語です。
幼少期から頻繁に重度の発作に苦しんでいたシャーロットちゃんに従来の治療法は効果がなく、家族は絶望していました。
しかし、彼女にCBDオイルを使用したところ、発作の頻度が劇的に減少。この奇跡的な結果を取り上げたドキュメンタリー番組は、世界中の注目を集めました。
内因性カンナビノイドシステムの発見
CBDやTHCが体内でどのように作用するのかを研究する中で発見されたのが、**内因性カンナビノイドシステム(エンドカンナビノイドシステム)**です。このシステムは、私たちの体内で自然に生成されるカンナビノイドが、痛み、炎症、免疫機能、神経伝達などの生理的プロセスを調整する重要な役割を果たしています。
研究はまだ進行中ですが、このシステムのバランスが崩れることが、てんかんや神経障害をはじめとするさまざまな疾患と関連していることが明らかになっています。特にてんかん治療では、このシステムをターゲットにした新しい治療法の可能性が注目されています。
CBDとTHCの違い
CBDが特に注目される理由の一つは、精神作用がない点です。THCには精神活性作用(いわゆる「ハイ」になる感覚)があるため、多くの国で規制されています。一方で、CBDには精神作用がないため、安全性が高く、医療分野での応用が進んでいます。興味深いことに、CBDとTHCは化学構造が非常に似ており、作用も一部重なる部分があります。このことが、両者を組み合わせた治療法やCBD単独の利用に関する研究を加速させています。
Kriya Hopsの誕生とCBD研究の進化
若い頃からアーユルヴェーダの知識に精通していたDr.ジョセフは、THCの精神作用という課題を克服し、CBDを含む植物を探すという挑戦に取り組みました。そして麻科植物の一種であるホップに着目し、ホップの中にCBDを含みながら、THCを遺伝子レベルで生成しない特異な品種を発見。この品種を固定化し、「Kriya」と名付けてアメリカで植物特許を取得しました。
CBDの品質管理と生物活性の評価
Dr.ジョセフは次に、CBDの品質と効果を正確に評価するための技術開発を行いました。天然のCBDに特異的に反応するモノクローナル抗体を作製することで、抽出過程や加工中に変性したCBDを簡単に検出できるようになりました。この抗体を用いることで、CBDが体内のCB2受容体とどの程度結合するか、つまり**結合親和性(生物活性)**を数値化することが可能になったのです。
Dr.ジョセフはこの技術を基に、CBDの生物活性を0~1で表記する評価システムを確立し、さらにこの技術の特許を取得しました。この評価法により、CBD製品の品質と効果を科学的に検証できる画期的な方法が提供されました。
植物の部位で大きく違う生物活性
この技術を用いた研究の結果、ホップ(Kriya)やヘンプ由来のCBDの中で、花序から抽出されたCBDが最も高い生物活性を持つことが明らかになりました。これは、花序由来のCBDがCB2受容体と最も強く結合し、その効果を最大限に発揮することを示しています。
Kriya Hopsはこれを基に、花序を中心とした製品開発を進めています。従来のヘンプ由来CBDと比較し、より高い生物活性を持つKriyaは、てんかんをはじめとするさまざまな疾患への応用が期待されています。
生物活性が低いヘンプや合成CBDの課題
Dr.ジョセフのさらなる研究では、ヘンプ由来のCBD製品や合成CBD、さらには薬として販売されているCBDについても生物活性が非常に低いことが判明しました。特に、現在市場に出回っているヘンプ製品で「花序のみ」を使用して作られたものがあるかは未確認です。こうした背景から、CBD製品の製造工程や原材料が、生物活性に大きな影響を与えることが分かります。
また、合成CBDは化学的に純粋であっても、自然界由来のCBDと同じ効果を持たないことが多いとされます。この結果、自然由来のCBDが持つ複合的な効果の重要性が再認識されています。
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植物が本来持つ癒しの力を最大限に引き出す
Dr.ジョセフは、Kriyaを西洋医学的な薬としてではなく、「植物が本来持つ癒しの力を引き出す」という視点で捉えています。この考え方はアーユルヴェーダや自然療法の概念と一致しており、人間の自己治癒力を尊重したアプローチを提案しています。
同じ医師としてこの考えに深く共感する私も、Kriyaを日本で広める活動を行っています。Kriyaは単に症状を抑えるためのものではなく、患者の体全体のバランスを整える新しい健康管理の形を提供します。この活動は、患者自身だけでなく、その家族や医療従事者にも自然療法の可能性を広める重要な役割を果たしています。
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Kriyaがてんかん患者にもたらす希望
てんかんは、適切な治療で発作をコントロールできる患者が多い一方、治療中や減薬中、あるいは薬をやめたものの不安を抱える患者も少なくありません。Kriyaはそうした患者にとって大きな助けとなる可能性があります。
Kriyaを使用することで、発作の予兆やストレスを感じる場面で不安を軽減し、発作そのものを予防できるという報告が増えています。ある患者は、Kriyaを使用することで「頭がクリヤ」だと実感し、減薬が始まった後も生活の質が向上したと語っています。従来の薬に多い眠気などの副作用がなく、自然な方法で症状の改善が図れる点が、Kriyaの大きな特徴です。
また、未診断のてんかん患者や高齢者に多い非痙攣性発作へのアプローチとしても、Kriyaは新しい可能性を示しています。こうした患者が安心して生活を送るための自然療法として、Kriyaは多くの期待を集めています。